■床革の読み方

「とこがわ」と読みます。

■牛床革とは

床革とは、本革を構成する複数の層のうち、表面の表皮を取り除いた下層部分を指します。この部分は、繊維が密に絡み合いながらも、表層に比べて柔軟性に欠けるため、独自の加工を施して製品化されます。本革よりも安価ですが耐久性に乏しいため、本革の加工過程で多くは廃棄されている現状があります。

つまり革製品には、本革と床革の2種類があり、革製品の表面(銀面)があるものを「本革」、表面を取り除いた下層部分(銀面層がなく網状層のみで構成されている)を「床革」と呼びます。

■本革と床革の違いについて

本革は、一般に「トップグレインレザー」と「フルグレインレザー」という上層部分と、床革という下層部分に分けられます。トップグレインレザーは表面の傷を取り除いた後の革であり、フルグレインレザーは表面の傷をそのまま残した、最も天然の状態に近い革です。これに対して床革は、これら上層部分を剥ぎ取った後に残る革であり、研磨や加工を経て、しなやかさや柔軟性を持たせることが可能になります。

床革の主な特徴は、その価格の手頃さにあります。表層の質感や耐久性を活かした本革製品に比べ、床革はより経済的に生産できるため、広範囲の消費者に受け入れられています。また、床革は表面に人工的な加工を施すことが一般的で、エンボス加工により様々な模様を表現したり、PU(ポリウレタン)レザーのように樹脂でコーティングすることで、水や汚れに強い特性を持たせることができます。

しかし、床革は天然の表皮層を欠いているため、表革に比べて耐久性や呼吸性が劣るというデメリットもあります。これは、繊維の密度が低く、傷みやすい傾向にあるためです。そのため、床革製品は適切なケアが必要となり、製品にする際は特に強度に注意する必要があります。

床革は、安価なため、靴やバッグ、財布などの芯材として幅広い製品に使用されています。革製品の見えないところで使用されるのが一般的です。

■床革が出来上がるまで。

床革の製造過程は、皮をなめしたあと本革の厚みをそろえるため漉き加工の段階で取り出されます。(表層と下層をわけて表層の厚みを整える)このプロセスは、原皮の選定から始まり、最終的な製品が完成するまで、いくつかの重要な段階を経ています。

まず、本革を作るためには良質な原皮の選定が重要です。牛や羊などの動物の皮から取り出された生皮は、まず塩漬けされて保存されます。この生皮をなめし工程に移す前に、水洗いして塩分や汚れを取り除きます。

次に、なめし工程に入ります。ここでは、生皮を柔らかくし、腐敗を防ぐために、化学薬品や天然のタンニンを用いて皮を加工します。なめしにはクロムなめしと植物性なめしがあり、使用するなめし剤によって床革の特性が大きく変わることがあります。

なめしが終わると、革は分割されます。割機を用いて、厚みを均一にし、表革と革に分けられます。この時点で、繊維はまだ粗い状態ですので、さらに研工程に進ます。研磨によって、不均一な部分を取り除き、滑らかな表面を作り出します。

その後、本革は色付けのための染色工程へと移ります。色は床革の繊維の奥深くまで浸透させことが重要で、均一な発色を実現するたには、技術と経験が求められます。

最終工程として、本革には様々な仕上げ加工が施ます。たとえば、耐水性や耐久性を高めためのコーティングや、エンボス加工によって模様を施すこと、機能的なだけでなく、視覚的な魅力を加えることができます。

床革の製造過程は、原皮のなめしから仕上げまで、各段階を経て最終的に本革の裏面に漉きをかけることで副産物として生み出されます。

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■牛床革の長所と短所

牛床革には、次のような長所があります。

    • 安価です: 牛床革は、本革よりも安価な素材です。これは、床革が革の副産物として作られるためです。
      • 多用途性: 牛床革は、さまざまな用途に使用できる素材です。靴、財布、家具などの芯材に使われています。

    牛床革には、次のような短所もあります。

      • 本革のような質感ではない: 牛床革は、本革のような質感ではありません。床革は、本革よりも表面が粗く、毛羽立ちやすいです。
      • 水に弱い: 牛床革は、水に弱いです。水に濡れると、シミになったり、形が崩れたりすることがあります。
      • 耐久性が低い: 牛床革は、本革よりも耐久性が低いです。床革は、摩擦や摩耗に弱いため、簡単に傷や破れが生じることがあります。

    このような特徴をもつ床革ですが先述したように多くは廃棄されてしますため、株式会社エヌコバヤシでは床革の表面にPUコーティングが施し、水や汚れに強く、日常使用においても長持ちする製品を開発中です。

    床革の利用と環境配慮

    株式会社エヌコバヤシでは革製品を扱う中でも環境配慮の観点から新たな使用用途を模索しております。

    環境への影響を最小限に抑える製造方法と、リサイクル可能な素材の使用に焦点を当てます。床革は、本来廃棄される可能性のある皮革の下層部を有効活用することから、資源の再利用という点で環境に優しい選択となり得ます。

    床革は原材料の段階で、本革よりも厚みが薄いため、同じ面積を覆うのに必要な原皮の量が少なくて済みます。これにより、畜産業における環境負荷も間接的に減少させることができます。さらに、床革の製造過程で生じる余剰となった革の端切れを粉砕することで再利用しやすいという特性もあり、廃棄物の削減に貢献します。

    環境保護の観点からは、床革に植物性タンニンを利用したなめし方法も注目されています。これは、従来のクロムなめしに比べて環境への影響が少ないとされる方法で、持続可能な皮革製品の開発に資するものです。ただし、植物性タンニンなめしは時間がかかるため、製品のコストが上昇する可能性がありますが、環境とのバランスを考慮した生産が求められています。

    床革製品の終生命周期においても環境持続可能性は重要です。製品が使用済みとなった後のリサイクルや廃棄処理のしやすさは、素材選定の際に考慮すべき点です。床革は、分解しやすい自然素材をベースにしているため、環境に配慮した廃棄が可能な場合があります。ただし、表面に施される合成樹脂の種類によっては、分解が困難となり、環境負荷が高まることも考えられます。

    消費者の意識も環境持続可能性に大きく影響します。エコフレンドリーな製品に対する需要が高まるにつれて、床革製品の製造者も環境への配慮を強化することが求められています。これにより、環境に優しい床革製品への関心が高まり、市場全体の持続可能性に寄与することが期待されます。

    結論として、床革の特性と環境持続可能性の観点から見ても、資源の有効活用、製造過程の最適化、廃棄物の減少など、多方面でその利用価値があると私たちは考えています。ただし、これらの利点を最大限に活かすためには、製造から廃棄に至る全過程で環境への配慮が不可欠です。持続可能な床革の利用は、産業だけでなく消費者の意識改革と選択にも依存するため、床革の環境への影響を理解し、責任ある消費を心がけることが重要であると考えます。

    私たちは床革だけでなく、廃棄される革についても一緒に活動してくれる仲間を募集しております。

    概要「廃棄される皮革材を活かすプロジェクトメンバー募集」

    是非、牛床革や廃棄される本革の新しい用途のアイデアをお持ちの方がいらっしゃいましたらこちらまでお問い合わせください。

    執筆:株式会社エヌコバヤシAI部長